型とわたし
アッと言う間に3月です。
今月は大山泰彦最高師範を招いた講習会に審査と今年初めてのイベントがあります。
3月は年度の入れ替わりなのでどこか浮ついた気分になりがちですが、ここは帯をギュッと締めなおして成長の良いきっかけとなるように大事に意識していきたいです。
審査は基本、型、組手をチェックするわけですが、当然そこに人としての成長がなければ意味がないと以前も書きました。
帯の色が変わるにつれて技も型もどんどん増えていく中で、それを上手く処理出来てこそソコに成長があると思います。
特に型はどうしてもカタチばかり追いかけたくなりますが、それは間違いです。
もちろんカタチを追いかけたくなる気持ちもわかりますし、カタチを覚える程の努力という点では少しは自信やチカラになるかもしれません。
ただ、それでは”受験勉強の為の暗記”と同じで悪くはないですが、それが将来に役立つ経験になった方がより良いと思います。
空手の型は団体や道場によって考え方が違いますが、私達の型の位置づけは”戦う為の戦法”です。
野球やサッカーにしても色んな戦法とセオリーがあります。
同じく私達が色帯(黒帯以前)の稽古で使う”基本の型”は戦法のセオリーを身につけるっていう趣旨があるんです。
それが各ランクごとにテーマがあって、昇級するにつれて戦う上での知識を増やしていくようになっています。
ただ、戦う為って言いますが(もちろん護身には直接関わってくることです。)、それはあくまで前提のようなものであって、ちゃんとした理解と意識で取り組めば生活に役立つモノの見方や考え方を身につけることが出来るのです。
ここが空手の醍醐味、教育です。
型の動きや流れには意味がありそれを理解して体で覚えなくてはいけません。
この”体で覚える”っていうのがミソです。
理解は頭で出来ますが、覚えていないと実際には使えません。
例えばサッカーでゴールを決めるとします。
頭の中ではプラティニのボレー(昔、将軍といわれたサッカー選手がいるんです)は浮かぶと思いますが、練習しなきゃ絶対に出来ませんよね。
それに、彼はまずあれと同じ状況で練習なんてしていないでしょう。
つまり”想定外”の状況だったはずです。
じゃあ、なぜあのような咄嗟のアイディアが出来たかと言うと、それは実戦に直結した意味のある練習を何パターンも、そして何度もしたからでしょう。
今流行りの”頭の中の”想定外とは違うのです。
型も1つだけならまだしも、帯が上がるにつれてどんどん増えていきます。
すると戦術や戦法のセオリーの知識を増やすと共に細かな角度や似たようなコンビネーションが出てくるのです。
一見それは混乱を呼びそうですが、それはカタチばかり追いかけようとしているか練習量が足りないということです。
何度も繰り返すことで、それらの共通点や違いを認識することによって本当は更に知識と技能を整理出来るモノなんです。
多分世の中も同じじゃないでしょうかね。
とは言え例えば審査本番で間違えるかもしれません。
ただ、空手はそこでバツとはなりません。
そういう時にこそ真価が問われるのです。
勿論間違えないで出来るに越したことはありませんし、 間違えないように一生懸命練習するのは言うまでもありません。
ただ、そこでオドオドしたり、他人の真似をしたり足を引っ張られていたら、それはバツです。
なぜかと言うと、誤魔化そうとするからオドオド慌てるわけであってテストのカンニングと同じです。
カタチだけの答えを求めるからそうなるのです。
普段から丁寧にチャンレンジしていれば、一生懸命自分と向き合っている事に自信が持てると思います。
そこからの割り切りが冷静さを呼び、良いリアクションに繋がると思うのです。
実際の戦いや囲碁でも将棋でも、どんなものでも全て上手くいくってことはないですよね。
ただ、リアクション(次の行動)にベストを尽くせる程に丁寧に何度も練習しているからこその結果ウンヌンに左右されない自信って大事だと思うのです。
そう言えば型に関して面白い話があって、ウチの型はちょっとずつ変化していくことが多いんです。
そもそも色んなスポーツでも戦術は時代と共に変化しますよね、そこまで大袈裟じゃないにせよそれと同じです。
これも生きた型の証拠だと思うのですが、本部がアラバマですから東京には当然時差があって本部に追いつけなかったり、間違って解釈していることもあります。
それは仕方ないと思います。
ただ、ちゃんとした解釈のもと”それなり”に稽古していれば時差がなくなった時に修正すればいいだけの話だと思っています。
型は決まった事をやります。
だからこそ、型を見ればどう稽古に取り組んでいるか、どう自分と向き合っているか、どう成長しているかがよくわかります。
型を通じて成長の型や人生の型を、それこそ持てる事が出来たら素敵だと思います。
2015/03/04
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