手応え
人に技を当てられない子が多い。
前回書いたように、人に触れる事に対して過剰反応する中で育てば致し方ないのかもしれません。
攻撃すら出来ない子は、受けも出来るはずがなく、ただ何となく組手をやって、しっかりやられて帰るのです。
いくらこっちが技を教えても、それをやる意志を持つかどうかは本人次第。
結局それは「やるぞ」という気のスイッチがあるかないかだと思います。
言われた事、やる事、やらなきゃいけない事を自分で判断して行動するのことが出来ないのです。
時間が過ぎているのに慌てない。
隣の子が怒られているのに、緊張しない。
注意されても素直に聞く事が出来ない。
言われた次の瞬間にまた同じ失敗をする。
これ、組手と繋がっていると思います。
いや、絶対に繋がってますね。
やろうとして出来ないのは仕方ないにせよ、やろうとする気がない、というか入らない。
教えていて、こっちが言う事に対して、相手の反応次第で次の手を打って(重ねて)伝えていきます。
それが手応えというものです。
ただ、その手応えが全く感じられないケースが増えています。
恐らく、普段から親に頼りきっている、甘えまくっている、そんな気がします。
自分の事なのに、自分の間にはいつも誰かいて、その甘えが自分への防波堤になっている。
そんな子がいきなり戦いをやってもピンと来ないのは、ある意味当然なのかもしれません。
だって、急に自分でどうにかするしかないのですから。
でも、ボケっとしたら痛い目に遭うのが戦いです。
だから良いのです。
イヤでもスイッチが入ります。
そうして緊張を覚えていくのです。
そうでもしないと緊張を感じられない時代なのかもしれません。
組手をして、最初は当てることすら出来なかった子。
何が何だかわからないうちに叩かれ、蹴られ、さがって逃げるしかなかった子。
そんな子達が、緊張に触れ、気を知り、自分の感情をコントロール出来てくるのです。
チャレンジでスイッチを掴むことが出来るのです。
まだ自在に操る事は出来ませんが、そんなの経験を積めば良だけのこと。
やがて、自分と向き合う瞬間がやってきます。
歯を食いしばり足に力を入れて、勇気を出し声を振り絞って相手に向って行く。
はー、この瞬間、この手応えったらないですよ。
これは嬉しいです。
これが自信になり、普段の生活に影響を与えます。
だって、自分を頼り信用するようになるのですから。
自分を、それにまつわる1つ1つを大切にする可能性は大だと思います。
なにも組手しなくたっていいじゃないか……。
それはそうかもしれません。
でも、誰かに頼ればいいんじゃない……。
それは違うと思います。