天才くんとボンサイマン / 第1話
子供クラスは戦いです。
そんな言い方は好きではありませんが、いつもそう思っています。
私と子供、どちらが主導権を握るか。
毎日がここ一番の大勝負です。
なんといっても、子供は空気を読む天才ですからね。
いつしか上辺のテクニックや要領を覚えてしまっている私は、そこに頼るあまり、その空気に気付くのが遅れる時があります。
そんな時は、100パーセントの確率で子供はその隙に入り込み、瞬時にペースを握ります。
まったく、そんな空気にはこちらも気付くものだから、焦り、イラつく時もあるのです。
こうなると、彼らからペースを奪い返すのは容易ではありません。
「起死回生の一手が欲しい」なんて思いたくなりますが、そうではありません。
起死回生もなにも、ペースを握られた時点でアウトなのです。
凡才は凡才らしく、あまり調子に乗って経験に頼り過ぎることなく、それに、理想を闇雲に掲げたり、安易に期待するのもどうかと思います。
理想や期待を何となく思い描き、経験に頼るのは仕方ない。
でも、それら要領を”受け身”として頼り過ぎては、結局は個々の生徒の特徴と現状を捉えることに鈍感になると思うのです。
相手が空気を読む天才くんならば、こちらは先読みで勝負しなければならないのです。
つづく
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