あまだんご
日曜の昼、江古田クラスが終わるとホッと気が抜ける。
また明日の午前からクラスは始まるが、一週間の〆を感じる瞬間となっている。
先日の日曜日、朝9時から子供初級クラス、上級クラスに次いで、この日最後の大人クラスが終ろうとしていた。
この日も、最初の子供初級で多くのエネルギーを消費した。
最後の大人クラスは瞼が少し重く感じるけど「週の最後」を思えば、体は自然に楽になった。
外は快晴で、日の光が道場の人工芝に反射していて眩しい。
「暖かい」と思いきや、外に出ると一転、冷たい空気が顔と体に突き刺さる。
着替えを済ませ戸締りをするとスマホが鳴った。
妻からのミッションだった。
「団子を買ってきて欲しい!」とのこと。
この上なく最高なタイミングに思わず胸が高鳴る。
私は迷いなくあんこの乗った「あまだんご」。
道場から店までは自転車で15分程度。
下り坂が多い。
週の終わりの達成感と開放感に、だんごの甘い誘惑。
それらが下り坂の爽快感と、顔に当たる冷たい空気が相まって、何とも気持ち良かった。
店に着いたのは午後1時半。
誰もいない客とは裏腹に、ケースの中にはあらゆる種類のおにぎりが並んでいた。
昼を過ぎても言わば「居残り状態」のおにぎり達は「おいしいよ!買ってくれ!」と私に訴えかけているようにも見えた。
だが、私はケース上段にひっそりと並んでいる団子達に心は奪われている。
ピカピカ派手目な「みたらし団子」。
色鮮やかで洒落た「ズンダ」。
甘くない「磯部」と「焼き団子」も良いが、今ではない。
その中で、真っ白なモッチモチのだんごにドッサリ目のあんこを纏った「あまだんご」はやっぱり格別に魅力的だった。
結局アピール度の強かったいくつかのおにぎりも合わせて連れて帰ることにした。
家に帰ると、消毒、手洗いうがいに着替えを済ませると、先ずはおにぎりをペロリ。
さあ、いよいよ至福の時がやってきた、と思ったが、おにぎりで空腹感は減少。
「どうしましょう!?」
「どうせなら空腹で」と、しばし団子を寝かせる事にした。
私もそれに続いた。
20分程が経っただろうか、完全に目が覚めるまでの空白の数秒を経て「だんご」を思い出すと、眠気は一気に吹き飛んだ。
何かよくわからないけど、頭の中で行進曲的な音楽が流れてきた気がした。
「待った甲斐はあったかい!?」と言うことで、更に完璧を求め「あったかい」緑茶を買いに自販機へ走った。
外はとても寒かった。
姿勢、OK!
空腹、OK!
お茶、OK!
一週間のご褒美を存分に味わう環境は完璧に整った。
姿勢を今一度正し、団子が容器にくっつかない用のラベルを丁寧に剥がした。
何故か慣れない左手に持った団子は、まるで一週間の充実度を表しているかのようにズシリと重かった。
行進曲もクライマックスをむかえた……。
一見「多すぎ」に見えるあんこだが、団子のサイズとモッチモチ食感加減が絶妙なバランスで絡み合う。
甘い所と甘くない所、何だかこれまた一週間の出来事のように感じられた。
起きた出来事を噛みしめ、理解して飲み込む。
団子をが織りなすハーモニーはまさに人生そのもの、なんて。
美味い。
確かに美味い。
……。
でも、痛いのよ。
団子と一緒に左の上唇の内側を割と深めに噛んでしまったのだ。
タイミングを間違えた。
ネットで、値下げを待っている間に売り切れになるのと同じで、「迷いの待ち」は基本良くない。
悔しいけど、「生きてる」という実感はものすごく感じることが出来た今日この頃だった。
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