雨の日の後ろ蹴り ~繰り返しの稽古~
トンネルに突き進む新幹線!
これは私が生徒達に後ろ蹴りのイメージを伝える際によく使うフレーズ。
兎に角「真っすぐズドーン!!」が後ろ蹴り。
「蹴る」意識が強いと、どうしても膝下のスナップが反応してしまい、真っすぐ蹴ることは難しい。
「蹴る」というよりも「伸ばす」
昔は「ミサイル」と言っていた時期もあるけど、このご時世だ、印象が悪すぎる。
そういえば、「ところてん」を試したこともあったけど、そもそも、ところてんを知っている子自体が少なかった。
さて、前回の続き。
後ろ蹴りを追いかけている上級キッズの話。
クラスは残り35分。
「トコトン後ろ蹴り選手権」スタート。
1ラウンド1分で細かな課題をひたすら追いかける。
普段から、1つの立ち方でも技でも大事なポイント2つ意識させるように稽古している。
2つの事がこなせたらその技や立ち方は大体決まる。
意識があれば丁寧に稽古出来る。
胸を張ることに繋がる。
もちろん、生徒や状況に応じてポイントを1つに絞ることも大事だし、1つ意識するだけで丁寧に稽古出来る。
ポイントが解らなかったり忘れてしまった時は、何がポイントか考える事もまた良し。
1つの事って皆出来る。
これが、2つになると出来なくなるから面白い。
もしも、人がコンピューターのようにいくつものことが一気に出来たらちょっと怖い。
動物たる単純さというか、安心できる不器用さ??というか、温もりなのか??、愛嬌ともいえるのか……??
それを持ち合わせているのが人で良いと思うけどな……。
さておき、1つだけだとバランスはとれなくなるし、状況においての臨機応変な対応が出来ない。
2つのことを意識出来るとそれは余裕があるということ。
身につく基準といってもよいと思う。
頭では理解出来ても、体で覚えるにはそれなりの稽古が必要。
今日の上級の2人も稽古を初めて3、4年が経つ。
その間、2人がどれだけ色んな経験をしてきたことか。
良し悪しの波を何度潜り抜けて来たことか。
それは、誰が何と言おうと立派なもの。
絶対に。
さて、最初のラウンドは慣れない稽古に集中出来ず、ただ何となく回数をこなすに留まった。
2ラウンド目。
今度は1つの課題のみを意識させた。
3ラウンド目はもう一つの課題を追いかけさえた。
4ラウンド目は2つの課題をランダムに私が言ってそれを出来るか確かめた。
5ラウンド目。
今度は自分達で課題を決めてやらせてみた。
ちょっとリフレッシュのつもりでトンファを間に挟んだ。
さあ、気を取り直して6ラウンド目。
先ほど同様に生徒任せにして、ストップウォッチのスタートボタンを押した。
30秒が過ぎた頃、やはり先ほど同様に雑になってきた。
ここに至るまで、2人の生徒はなかなか2つのことが出来なかったり、集中が途切れたりと壁にぶつかった。
でも、ラウンドをこなす中で1つのことならこなせる自分を知り、稽古に入り込んでいく(集中出来る)自分に自然に変身していった。
「よし、今日はここまで。まあいい経験になったかな。」
そう思った時だった。
「おおっ!」という声がした。
初めて2つ出来る瞬間に気付くことが出来たのだ。
ほどなくしてもう1人も同じような歓喜の雄たけびをあげた。
つづく
P.S. 今回のキャッチ画像は前回同様にテキストからです。
当初、後ろ蹴り関連のネタを探していたのですが、上手く見つからずにいました。
路頭に迷いながらページをめくっている時、この写真が気になりました。
一見、真面目に話を聞いているようですが、どう見ても偉そうな態度に見えてなりません。
この時の心情はもう忘れてしまいましたが、我ながら思わず笑ってしまいました。
そういえば、このテキスト(空手教典)撮影ですが、色々大変だったんです。
そのうちブログに書きますね。
「空手教典撮影秘話」
良かったら読んでください。
コメントを残す