ミラーマン
道場を出してすぐのこと、だから15,6年前の話。
一人の大学生が体験に来てくれました。
長い間スイミングをやっていたそうで、運動能力も高くて体験もスイスイと進んでいきました。
ですが、鏡ばかり見るのです。
それで、「僕カッコイイですかね~?」というから、「凄くカッコイイよ!」
「強くなりますかね~?」って聞くから「絶対強くなれるよ!」と、イケイケにはイケイケで返していました。
とは言え、正直にそう答えただけですが。
その甲斐あってか、彼は入会しました。
その後、立派に就職して茶帯まで稽古した後に辞めてしまいました。
ちょっと私が厳しすぎたかな、と若さ故の足りなさを今思えば痛感します。
さておき、イベントでも大会でも大活躍してくれた彼のことを審査しながらふと思い出していました。
4月下旬、今にも泣きだしそうな曇り空の下、審査は行われました。
生徒の階級が上がる、それと比例して成長した姿を見る事が出来るのが審査の素晴らしいところだと思います。
さて、人間不安だと下を向くものです。
そんな時に目線を決めるのは至難の業。
面白いのは鏡があると下を向く。
気持ちは良くわかります。
不安な姿なんか自分でも見てられないでしょうからね。
ただ、試しに鏡に映らないところで同じことをやると、目線は決まり出来るのでした。
何となく、鏡があったほうが姿が確認しやすい、だからやりやすいって思うかもしれませんが、そうとは言い切れないんですね。
同じく、初級の生徒でよくあるのは、周りに生徒がいる時と一人でやるときの話ですが、これも一人でやる方が不安だと思います。
ですが、周りが気になったり、周りに合わせてしまうリスクがあって、一人でやる方が上手くいくケースは多々あります。
これら全て不安が要因なわけです。
精神的なものはカラダを使ってそれなりの回数をこなせば改善出来ます。
ですが、色々と忙しいですからね現実は。
理想はいつか追いかけるとして、稽古の仕方を覚えるのは成長するうえで大事だと思います。
「やれることをやる」って中には、自信が無くても前を向く、目線を決めるって一つのやりかただと思うんですよね。
「不安だけど目線を決めた」って一つ胸を張れますからね。
ん~、どうでしょう、また厳しすぎですか?
まあ、その大学生然り、一生懸命やっている姿は皆格好良い。
ここまで言っておいてなんですが、かくいう私は実は下を向く癖があります。
下といっても床を見るわけじゃないですが、組手でも稽古でもアゴ辺りを見るのが私の癖です。
だから鏡がある場合も同じで、目ではなくアゴ辺り、つまりやや下を見ています。
これって、昔の自信が無い時の私がそうさせた可能性もあるかもしれません。
ただ、目線を決めるって別に目を見るのとは違いますし、事実それで私は目線を決めていますからね。
ちょっと話が逸れましたが、兎に角、稽古は嘘はつきませんが、鏡もまたそうかもしれません。
ただ、だからこその向き合い方ってあると思います。
では。
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