話すことも行動のうち ~道場を使いこなす~

また前回のつづきになりますが、今回は結構大事な話です。
是非最後まで読んでください。
「意識を持ち行動することで自信をつけよう」ということですけど、行動についての付け足しです。
先日、子供のクラスで「悩みがある人?」と尋ねると、小学2年生の男子が真っ先に手を挙げて学校での出来事を赤裸々に話してくれました。
普段は消極的な態度が目立つ彼が迷いもなく積極的に手を挙げたことに私は驚きました。
「実は学校でいじめにあっている」と涙ながらに話してくれたのです。
たまたまそこには次のクラスを待機していた彼と同じ小学校に通う5年生と6年生の子がいました。
彼等も一緒に相談に乗ってくれました。
嫌がらせを受けていて実際に傷ついているのは彼です。
彼と同じ痛みを感じることは出来ませんが、我々は話を聞いて共感して一緒に悩むことは出来ます。
恐らく、誰に相談しても100%の解決策など出てこないでしょう。
単に「いじめをなくす」だけでしたらまだしも、彼の成長を考えた場合にどう対処したら賢明か?
という壮大な課題になりますからね。
安易にこっち(大人)の都合での解決を急ぐのは、彼や他の子供達の為にはならないと思います。
こういう時は彼を1人ぼっちにさせない、ということが先ずは大事かな、と。
「誰も共感してくれない」のが一番辛いと思うんですよね。
「こうしたら良い」「ああしたら大丈夫」なんて簡単には言えません。
ただ、気持ちを察する事は出来るわけで、それだけでも十分かも知れません。
子供は子供故に経験値が低いわけで、それならば経験値の高い大人を利用すれば良いと思います。
ちょっと言い方は悪いですが、傍に頼れる大人や先輩達がいるだけで安心感は違うと思うんですよね。
それに、頼られた側もそれは嬉しいものです。
人に悩みを打ち明けたりするのも行動の内の一つだと思います。
行動は慣れが必要だろうし、慣れて自然に出来て初めて能力として身に付いたと言えます。
道場って子供から大人までが同じ課題と向き合い同じ稽古をします。
勿論、普段の稽古スケジュールは違いますが、合宿や大会、発表会等のイベント事では皆で顔を合わせるわけです。
立場や状況が違っても、同じ課題を追いかけている者同士で共感出来ることも多いでしょう。
また、生徒がこれまで掴んできた経験も各々あります。
そんな生徒達が皆で皆を意識し合える事が出来たら、それはそれは素晴らしい事だと思います。
特に子供と大人とで信頼関係を築くことが出来たら尚更素敵なことです。
空手には帯の色で明確なランク分けがされています。
皆、それ相応の稽古をして経験を積み自信を掴んで成長という変身を遂げているのです。
だからこそ縦横の関係や繋がりは意識しやすいと思います。
例えば、リーダーって傍から見れば向き不向きがあると思います。
ただ、リーダーを意識して自覚を持ち積極的に行動することは皆やれば出来るのです。
空手の場合は帯の色が背中を押してくれるわけです。
さて、前述の悩みを打ち明けてくれた2年生の話に戻ります。
結局、次の日に一緒に話を聞いてくれた5年生と6年生の子が休み時間に彼を迎えに行き、一緒に学校内の相談室に連れて行ってくれたそうです。
彼にとってどれだけ2人の先輩達が心強い存在だったか、また、引率した2人の上級者は頼られた事と行動出来た事はきっと自信に繋がったと思います。
数週間が経ち彼にその後の事を聞きくと「結局仲良しになれました!」とケロっとしていました。
ともすると、他愛もない出来事だったかもしれません。
ただ、彼が積極的に話してくれたお陰で私自身が道場として出来る事、役目を考える事が出来ました。
また、上級者2人の自信にもなったでしょうし、彼が信頼を学ぶ事が出来たと思います。
彼のストレスが解消されたこと、それと、子供達が空手を使いこなしてくれたことが嬉しかったです。
彼はこの先、加害者のことをなかなか尊敬は出来ないと思いますが、いずれ巡り巡って「良い経験が出来たのは彼のお陰」なんて感謝の幅を広げてくれたらホントに素敵だと思います。
そんなわけで、折角互いが意識しやすい環境があるのが道場の良さだと思うので、そこを踏まえた稽古をしていきたいです。
皆様も是非ご協力よろしくお願い致します。
では。
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