6年分の質問
この前書いた小学3年生のキッズが、クラスの後にこんな質問をしてきた。
「せんせー、組手で勝てるコツを教えてください!」って。
そうだよね、みんな勝ちたいよね!
勿論、コツはあるよ!
今やっている稽古の通りでいいんだ!
でも、わかるでしょ。
そんなに簡単には出来ないよね!
もし簡単に勝てるコツがあったらみんな勝っちゃうでしょ。
それに簡単に勝っちゃったら嬉しいのはその時だけ。
って事は、忘れちゃうから自分のチカラにはならないってことだよね!
それじゃ、自信も何もつかないでしょ!
だから、ちゃんと苦労した人だけが勝ったら本当の喜びと、本当のチカラがつくようになっているんだ。
その本当の喜びってずっと残るから自信に繋がるんだね!
だけど、自信って考えたらそれはなにも勝った人だけが得られる物じゃないんだ。
勿論勝った人の方が嬉しさはあるよ。
でも、苦労した、稽古をやり遂げた、逃げなかったって言うのは自信に繋がらないか?
そうでしょ。
だから、今逃げないでしっかりやっている事が大事ってちゃんと理解しなきゃいけないんだ。
大会の事考えると、勝ちたいし、不安になるでしょ。
心配になるでしょ。
でも、それに押しつぶされちゃったらチカラなんて出ないんだ。
どっかで、その不安を止めなきゃいけないんだ。
それには、今逃げないで稽古しているって事をぶつければイイんだ。
だって、逃げちゃう人がいるなかで逃げないでやっているんだから!
1回不安になったら、3回大丈夫って言い聞かせればイイんだ!
試合当日になった時に”逃げなかった!!!”って思えればそれで十分なんだ。
実際、そうやって思えるくらい稽古すれば、ちょっと調子悪くても緊張しても体は動くから大丈夫!
今までもそうでしょ!
だから、コツは一日一日、一つ一つをしっかりやって行く事!
わかるかな?!
多分、何となくわかったと思う。
それをしっかり自分で理解しようとしている顔をしていた。
イイ表情で「オスッ!!!」って言って彼は帰って行った。
この質問、皆が知りたい事だと思う。
でも、逃げて自分と向き合わない人がこうやって実際聞いてくるかって言えば、それは無い。
とてもシンプルな質問だけれど、幼稚園の年少からずっと試合に出ている彼だからこその重みがそこにはあるんだ。
大丈夫、もう少し大きくなったら絶対にずっとやり続けている事の偉大さがわかる。