オーストラリアの学生に空手レッスン《本番》
生徒は18人。
自己紹介を済ませると、講義は始まった。
先ずはウォーミングアップがてらに一先ずファイティングポーズからのパンチ。
さあ、ここからが空手の稽古。
空手の稽古って、技の特徴に合わせた特別な立ち方(構え)を使って行う事ができる。
それにより、身体の仕組みや使い方を細かく噛み砕いて技を習得していく。
だから老若男女、運動神経に関わらず、誰でも取り組めることが出来るのだ。
ある意味それはとても親切でもあり合理的。
ホントにビックリするほど誰でもとっつきやすいのにイメージが堅苦しいのかな??
さておき、先ずは止まった位置でのパンチ。
手技と言えども、それを支える(リードする)足腰が重要!
続いて、前方に上手く力を入れる為にはどのような身体の動きが有効的か、一つの立ち方(構え)を交えて勉強する。
そして実際戦う時の構え(ファイティングポーズ)からのパンチ。
そう、ウォーミングアップの形に戻ったわけだ。
ここまで僅か10分足らずの空手の稽古。
その間、2つの構えを学ぶことで、身体の使い方を意識したパンチへと成長を遂げたわけだ。
この辺から生徒達の表情が次第に柔らかくなっていった。
次は、お待ちかねの「HITTING TIME !」
やっぱり実際に当てなきゃ実感は湧かないだろう。
前に力を入れる構えと戦う時の構え(ファイティングポーズ)で実際に当てる稽古。
蹴りも付け加えた。
止まった位置から身体の使い方を確認する。
実際に当てる。
上手い!上手い!
さて、次は受けること。
受け技で大事なのは動き。
1つの知識、テクニックで様々な角度、箇所、距離、速度、チカラに対処出来るのはただ1つ。
それはステップ、つまり動くこと。
動くには動ける構えが必要。
足に力を入れるのも、前に力が欲しい時も、動ける体制も全て「構え」が大事ということを学ぶ。
さあ、最後に片方がパンチ、もう片方はステップでそれをかわす。
皆、真面目に一生懸命取り組んでくれたのが本当に嬉しかった。
最後に、空手の稽古は日常生活に活かす事が出来る、と言うことを伝えたかった。
構えを決めれば安全だし、格好良い。
さて、今回の「留学生への空手レッスン」で私が学んだ事は2つある。
1つは、やはり一度身体で覚えた事は身体は忘れないということ。
また、それの使い方を学ぶことが出来た。
今回の場合はそれが英語にあたる。
それなりの準備をして本番に挑んだのも勿論効果はあったと思うし、準備の自負が「その気」にさせてくれたのは間違いない。
ただ、稽古はテンポ、流れが重要で、それにはその場の状況に合わせた対応や読みが必要だと思う。
これが、普段の道場稽古ならば参加する生徒と彼等の特長が理解出来ているために想定はドンピシャで当たる。
ただ、今回の様な言わばブッツケなメンバーを含めた環境では、想定外を想定しなければならず、つまりそれは想定出来ないと言うことになる。
そこで活きてくる、頼りになるのは経験と言うことになる。
ただ、そんな武器(経験)を活かすには気の持ちようってやっぱり関わってきて、そこに不安や迷いがあってはやはり「その気」にはなれない。
それと、もう一つは、学んだというか、私の生徒に伝えたいこと。
勿論、私はこの立場だから簡単に言うことが出来るし、決して簡単だとは思ってはいない。
ものごと「やると決めれば気が入る」と言うこと。
決めればそれはプレッシャーが掛かるのは私も同じで、今回も講義のことを考える度に一瞬逃げたくなる自分がいるわけですよ。
ただ、それが一瞬で済むのは、やはり経験上乗り越えたら自分の為、自信に繋がるというのを知っているからに他ならない。
逆に、やらなかった、逃げた時の感覚と言ったら、やる事へのプレッシャーとは比べものにならない程に気持ち悪いと言うのも経験済みなわけだ。
今年1年を通じて各イベントには毎回本当に多くの生徒が参加してくれてありがたくもあり嬉しくもある。
ただ、葛藤して苦しんでいる生徒が多かった。
でも、それは決して悪いことではなくて、むしろ良い事だし必要な経験と言える。
来年以降、その決断は早くなるだろうが、その変化(成長)は自信を与えてくれるのは間違いない。
将来的にコツコツ掴み取った経験はやがて皆の武器となり生活に活かす事が出来るだろう。
それでやることを決めたなら、やっぱり準備を大事にしてほしい。
準備が万端であればあれほど本番を胸張った状態で迎えることが出来る。
自信があれば気持ちが入る。
その気」になって初めて身体で覚えた経験を素直に活かす事が出来る。
そんな事を経験させてあげたい。
さて、今回はこのような貴重な経験を積むことが出来た。
それは多くの人の協力があってこそのもの。
先ずは、一生懸命稽古してくれたディーキン大学の留学生達。
彼らをサポートしてくれている先生方。
講義しやすい場所を提供してくだっさった武蔵大学の職員の皆様。
そして、私に実際に機会をくださった江古田の美味しいパン屋さんVieillヴィエイユのO氏ご夫妻。
皆様のお陰で年末に素敵な経験が出来ました。
ありがとうございました。
この経験を、私は道場に帰って生徒に伝える事が出来れば、これまた素敵な年越しを迎えることが出来ると思う。
それでは。
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