寒雨の審査
朝起きると先ず外を見た。
次に、当てにならないスマホの天気予報を一応確認した。
まだ雨は降っていなかった。
先日、今年初めての昇級審査を行ったが、どうもイベント事には雨がつきものになっているようだ。
「持ちこたえてくれたら良いのにな」
なんて淡い希望を抱いて道場に入った。
だが、電気を点けて外に出ると既にポツポツ来ていた。
結局、生徒が来る頃には嫌味なほどに冷たい雨がばっちりシトシト降っていた。
奇しくもスマホの天気予報通りになった。
生徒は皆機関車のように白い息を吐いて道場にやってきた。
さて、今回は初級者中心の審査となったが、来月に昇段審査を受ける学生2人が勉強しに来てくれた。
彼等もまた、6,7年前、まだ小さかった頃にこの場所で人生初の昇級審査に挑んだわけだ。
後輩の気持ち、それからヒントは痛いほどによくわかる。
だから、程よい厳しさと優しさが温もりをまとい丁度良い塩梅で後輩達をリード出来るのだ。
理屈やマニュアルではなく経験のなせる業。
素晴らしい関係性だと思う。
白帯は初めての審査。
審査は自分の自信を掴む機会。
審査という特別な場は印象に残る。
るまり、普段通りに一生懸命取り組めば大きな自信を掴むことが出来る。
もう一つ。
感謝の意味を勉強出来るところも大きい。
特に子供は親への感謝はしていると思う。
普段なかなか稽古を見に来る事が出来ない親に対して、感謝を力に変えて成長した姿や課題に向き合っている姿を見せる、ということ。
今回の審査も、今学期の目標「積極性」を意識したものとなった。
積極性の一番の狙いは経験を積ませるということ。
皆、一生懸命出来る才能はある。
ただ、失敗や間違える時、もしくはそうなりそうな時ってやっぱり動揺する。
だから、慣れないと失敗も間違いも単に「悪いこと」と勘違いしてしまう。
すると、行動出来なくなってしまい、経験は積めなくなる。
試しに手を挙げてみる、試しにやってみる。
挑めた事でも十分自信に繋がるわけだ。
もう一つ、「やってみる事」で重要なポイントがある。
それは「経験を活かせる」ということだ。
空手も普段、身体を動かして稽古している。
瞬間的に人は頭で考えてしまう、それは仕方がないことだと思う。
でも、頭はあまりあてにはならない。
余計な事も考えてしまうし。
ただ、身体は正直で案外よく覚えているものだ。
逆に言うと、それだけ体に覚えさせることが大事ともいえる。
身につけるってこういうこと。
積極性を活かして、行動する、身体を動かせば身体がヒントを与えてくれることは多々ある。
さて、審査から一週間が経った。
嵐の様な強風がが吹き荒れた、そんな一週間だった。
だけど、そんな不安定な天候とは裏腹に、生徒達は審査で掴んだであろう自信を、そのまま普段の稽古で見せてくれている。
初級者が、これだけ揃って明らかな自信を掴んだ態度を見せてくれることは爽快でさえある。
今年最初の審査はなかなかに良い内容だった。
それでは。
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