ヘリコプター
ココロとカラダにんげんのぜんぶ、なんてTVCMが昔ありましたね。
このところ、ココロとカラダのバランスについて考えることが多い私ですが、その都度このフレーズが頭をよぎります。
さて、内弟子君たちが最も忙しくなるのが地元で行う本部主催の大会です。
大会前の自身の稽古は然ることながら、広告集めやチケット販売、ポスター作り。
会場設営から、海外、地方からやってくる選手や関係者の世話などなど、全て内弟子が中心となって作業します。
本番前日なんかはあまり眠ることも出来ないし、当日は試合の他に演武や審判やったりと、まあ大活躍なわけです。
それでも、試合が始まればそんなこと全く関係なく、ばっちりカラダは動くしスタミナも十分で結局勝ててしまうのです。
緊張しようが疲れていようが、カラダが自然に動く、それだけ稽古していたということですね。
私がそんな経験をしているお陰で、生徒が失敗した時なんかに「緊張して……」や「寝不足で……」なんて言い訳すると、「それ、練習不足だぜ!」って一蹴されてしまう。
子供達にはちょっと可哀想な気もしますけど、彼等生徒達の自信と成長のためですからね。
失敗しない準備の仕方を学び大切にするのは大有りだと思います。
こんなこともありました。
あれは私が黒帯間近の頃でした(意欲的に稽古して以降の話)。
ある大会での確か準決勝だったかな、相手は他流派の結構名の知れた選手で、過去に私が負けていた相手です。
試合は延長にもつれましたが、何となく勝てる手応えを感じていたのですが、残り僅かというところで妙な体験をしたのです。
……。
「バタバタバタバタ」
何故かリコプターの音が聞こえました。
「バタバタバタバタ」
ヘリコプターが迫ってくる、そんな感覚がありました。
……。
私は相手にラッシュ(最後技をたたみかける)を掛けていました。
試合はそのまま私の優勢勝ちとなりリベンジを果たしたのでした。
はて、私の意識は飛んでいたのです。
それで、何故か意識が戻る時にヘリコプターが飛んできた、確かにそんな音がしたのです。
後日、ビデオ(VHSの懐かしいやつ)で確認すると、その延長後半に相手の左上段回し蹴りが「パッカーン」と私の右頭部をヒットしていました。
ですが、お構いなしに練習通りのコンビネーションから、練習通りに最後のスパートを仕掛けていたのです。
「稽古は嘘つかない」と言いますが、稽古をする偉大さのようなものを感じた瞬間でした。
以降、稽古を面倒と思うことはありましたが、それよりもサボる、逃げることの方が怖くなりました。
それでも「じゃあそれがどれだけ全力で出来たか?」と問われたらもっと出来ただろうし、内容的にもっとああしておけば……なんて思うことは多々あります。
確かに稽古を逃げることはなかったですが、内弟子時代は「ここまでやれば十分」と思うハードルの設定は今思えば甘かったし、まだまだ浅はかな経験値から算出したものに過ぎませんでした。
納得出来る稽古を行えるようになったのは、私が東京練馬支部を立ち上げてからのことです。
やはり人間、背負うものがあると強いですね。
生徒の為、道場=将来の為と思いサンドバックやミット、坂道やダンベルに向かっていました。
内弟子の弱点と言えばそこのことかも知れませんね。
「内弟子として勝たなきゃ!」との思いはありますが、それは背負うものじゃなくて守るもの。
受け身でしかありません。
ですが、その背負うものを持った、言わば最強の武器を手に入れた私が最高の稽古が出来たのは、勿論、内弟子時代に稽古の仕方を知っていた、壁との向き合い方を経験していたからです。
生徒達も今大会に向けてよく稽古しています。
勉強や他の習い事、特に中学生達は部活もある中での頑張りには頭が下がるおもいです。
大会には出られない生徒達も本当によくサポートしてくれています。ありがとう。
生徒達の大きな目標は自身の成長です。
それは、守るものでも背負うものでもなく、漠然とした目標です。
だからこそ、難しく考えること、今の気分に左右されることなく、壁との向き合い方をカラダで経験しておくことが大事だと思います。
生徒達もいずれ来るであろう「イザ」という時の為に、今は丁寧に丁寧に下地作りのつもりで挑んではどうでしょうか。
背負うものを持って挑む挑戦の「重厚な達成感」や「揺るぎない自信」を是非体験させてあげたい。
結果を求めすぎて焦ったり、わからぬ未来を想像しすぎて不安になったりするのではなくて、一日一日を大切に、一段一段進む、それで十分です!
ガンバレ!!!
☆生徒の皆さまへ
今年も年末恒例の発表会を行います。
12月15日(日) 9:30~11:30
場所は昨年同様「小豆沢体育館」となります。
今年のまとめに是非ご参加ください!
※詳細は来月にご案内いたします。
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