大会用の稽古をはじめて ~ある高校生の話~
このところのブログネタは大会ばかり。
そろそろ違ったネタを、と思っているが、やはり大会が絡むと道場では連日のように様々なドラマが起きている。
生徒はよく頑張っている、ということだ。
さて、今回の型の大会には多くの黒帯も参加する。
皆上手い。
あと一月で各自どんな仕上げになるか本当に楽しみだ。
そんな中で、こんな高校生がいる。
彼は今年で黒帯三年目を迎えている。
春先のことだった、試しに彼とある難しい〇〇の型をやることにした。
ところがだ、私がその型を忘れていた。
私と「その型」との経緯を少し話すと、私がそれを習ったのは四段の時だった。
私が五段の審査を受けるにあたり、納得するまで稽古した。
それから恐らく五年程が経っているが「少しやれば覚えているだろう」と思ったがダメだった。
「スマン」ということで、その時以来放置していた。
今月に入り稽古は大会用に生徒各自が選んだ型を追いかけている。
先日、稽古が終わると彼はわたしの元へとやってきた。
「師範、今度の大会で〇〇の型をやりたいので教えてください」と。
次の日、私はノートを引っ張り出して早速その型を復習した。
春先の「思い出せなさ」を思うと、出来るまでどれほどの時間が掛かるか正直不安だった。
だが、稽古し始めて20分もすると、五年前に納得したレベル程度にまで出来るようになっていた。
五年前に私が苦手な個所、何度も同じ間違えをしてしまう個所も明確に思い出すことも出来た。
勿論、春先に型を忘れていたことは立場を考えても反省だが、今、型の大会に向けた稽古状況を考えると、私が型を忘れていたこともかえって良かったかもしれない。
生徒には、一度納得いくまで稽古すること。
一度徹することで掴める自信や強さを伝える事が出来る。
今回、リアルタイムでの私の経験は、それに説得力を与えてくれると思う。
それもこれも、大会に向けてあえて難しい型を挑戦しようとした彼のお陰だ。
流石黒帯。
その姿勢が潔くてカッコイイ。
TAGS: 型・大会・教育・稽古・経験 | 2022/11/01
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